香港日記2016 その4

5/4 (水) 4日目

今日はマカオに行くことに。人生初マカオ。香港には沢山通っているのにマカオには行ったことが無い。昨日が遅かったので朝寝坊の目を擦りながら,近所の朝マックで適当にテイクアウトして朝食。キッチリと支度をしてからMTRで上環へ向かう。支度って,今日はイミグレを通過しなければならないので,パスポートの準備と,それなりに身なりをきちんとする準備。


港島線が上環まで開通した記念プレート。1986/5/23らしい。
そいや,その翌年に先輩が香港に行って買ってきたお土産のポロシャツがおいらの香港の初めての出会い。

上環までMTRで来たのは久々。いつも通りトラムでもよいが,そろそろ昼になりそうな勢いなのでMTR頼り。D出口を出て信德中心のエスカレータを上がっていくと,港澳客輪碼頭がある。まずはターボジェットのチケット売り場へ。窓口の女の子に出航時刻と枚数を告げて購入。航空機のチケットとは違って便名の記載は無く,日付と等級と出航時刻のみ。乗客必須開航前15分鐘到達閘口と書いてある。出航15分前までに搭乗ゲートにいてくれという話。 購入時点で11:20は回っており,急いでイミグレを抜けないと間に合いそうもないが,11:30の便のチケットも売っていたことから,15分前というのはあまり厳密ではないものと予想。それでも時間が無いので散策はそこそこにして,取り敢えずイミグレを抜けることに。


D出口から信德中心の港澳客輪碼頭へ。


ターボジェットのチケット売り場。

イミグレを抜けると待合所のような場所があった。まずは座席指定してもらわないことには座れないので,座席指定を受け付けているらしきオジサンにチケットを渡す。するとそのオジサン,特に希望も聞かず,もの凄い早業で座席番号のシールを貼ってくれた。昔の空港のチェックインカウンターにあった,機体別シートマップ状のシールだ。シール台紙がそのまま座席表になっていて,そこからシールを剥がして客のチケットに貼ると,その席番は埋まっているということが一目瞭然でわかる機能的なシールだ。


噴射飛航の11:45発なのでD0804便。これを見るまで便名が分からんって一体。
空中快線ってのが存在するのが凄い。ヘリコプターで所要15分$4300 (約6万円)

マカオ行きのターボジェットは長洲までは長洲行きのフェリーと同じ航路。そこから大嶼山の南側を抜けた所で旅程半分。船は凄い速度で珠江口を真っ直ぐ横切り,正面に人工島が見えてきたところでiPhoneにSMS受信が。この番号は誰にも知らせてない筈なのにと中を覗いてみると,ローミングが行われたので電話をかけるときは香港の国番号をつけてねというメッセージだった。中国聯合のSIMはマカオでは3澳門にローミングらしい。正面に見えた人工島は香港とマカオを結ぶ橋(港珠澳大橋)が完成した際にイミグレ施設になる予定。マカオ用と珠海用で2つ島を作るというのだからスケールの大きい話。船は速度を緩めて,澳門友誼大橋をくぐると外港客運碼頭に到着。香港とは海の色が違う。別の国に来たというか,なんだか匂いも違うぞ。


iPhoneがマカオの電波を拾った瞬間に飛んできたSMS。3澳門にローミング。

上環からここまで1時間くらい。この速度だと港珠澳大橋が完成したところで,香港島からはバスよりも船の方が速い。船はほぼ直線距離を時速80キロ,バスは時速70〜80キロで高速道路経由なので,そりゃあ船の方が有利な訳。まぁでも経費は船の方がずっと上な訳で,バスに安売り合戦を仕掛けられたら一瞬で終わってしまう。今の内に乗っておかないと。

イミグレを抜け,路線バスのバス停に向かう。マカオは香港と同じルールで,終点までの運賃を乗車時に払う。香港のオクトパスは使えないので,小銭(香港$もOK)で払うか,澳門通と呼ばれるICカードを使う。澳門通はマカオに何日かいるなら絶対に入手したいのだけど,滞在半日でバスも往復のみの2回ならば小銭でよし。と思っていたら,路線バス用に用意しておいた小銭が何故か見当たらない。仕方が無いので,財布にあった予備の小銭でなんとか運賃を払い,定番のセナド広場へ向かう。


マカオの路線バスは平屋建ての右ハンドル車。


セナド広場へは新馬路で下車


有名なセナド広場。地面の模様は石タイル舗装。
ちなみに漢字表記は議事庭前地。確かにそうだ。


ゴミ箱。香港と同じタイプだが,こちらのはカラフル。

バスを新馬路で降り,後方のセナド広場に向かう。バスは広東語の案内が普通にあるので,行き先の漢字表記と,広東語読みさえ判れば土地勘がなくてもなんとかなる。新も馬も路も広東語で読める簡単な漢字だったのが幸い。驚いたのが セナド広場前の横断歩道。何と信号機に待ち時間の残秒数カウントダウン機能付き。グラフで出てくるのは東京都内に結構あるが,残秒数カウントダウンタイプは大阪の梅田駅前でしか出会ったことが無い。もしかしてマカオ人ってせっかちなんだろうか。

セナド広場横の郵便局に寄った後,向かいの民政總署大樓に寄ってみることに。セナド広場をよく見ると,綺麗な地面の模様は石タイルだったということを初めて知る。さすが世界遺産だけあって,広場に面したビルは皆結構な歴史がありそうなビル。単純に貧乏すぎて,どのビルも建て替えられないまま時代が下って観光地化。こんな厚化粧ではないにせよ,昔は香港もこんな感じだったのだろうな。


世界遺産のひとつ,民政總署大樓の花園。
昔の市役所(レアル・セナド)だが,今でも民政總署として現役の役所。図書館やスーベニアショップもある。

さすがに腹が減ってきたので,観光前に近くのカフェ(Paddington Pancakes)で昼食。美式とあるので米国式のパンケーキを出す店によめるが,注文したのはサーモンパスタとチーズかけフレンチフライ。ポルトガル語はわからんので,片言の広東語と英語で注文。これが結構美味かった。


民政總署大樓の裏手


サーモンパスタ

再びセナド広場に戻り,観光客ルートを素直に通って一番ベタな聖ポール天主堂跡へ。ここへは原宿の竹下通りのような場所を経由して行く。いきなり人が増えてびっくり。ホントに竹下通りだわ。


マカオ式スタンド花


天主堂跡までのメインストリート。いきなり竹下通りのようになる


郵便受け。右上の四樓Hだけ何故か旧式の箱。

聖ポール天主堂は広東語だと大三巴牌坊と書く。聖ポールはポルトガル語でサン・パウロ。三巴はサンパーと読むのでそのままの音訳だ。面白いのは,天主堂跡で壁だけになってしまっているので大三巴の後ろに牌坊を追加していること。これはいわゆる中華街の入口にあるアレのこと。確かにそう見えないこともない。


聖ポール天主堂跡前の階段と雑踏


タイのNaRaYaまで出店してる

ここは観光地だけあって,無数に写真を撮っている人が。ポーズ付きの写真を撮る人が多いのはさすが中華圏。周囲のビルは普通に洗濯物が干してあるが,それも中華圏。やたらと自撮り棒の自撮り女が多いのも中華圏。


世界遺産前でも洗濯物。さすが中華圏。


横から見た図。本当に壁だけ。


銅像でなくても,リアルなカップルが沢山。自撮り女も沢山。

天主堂に向かう石段を登りきって,天主堂の門をくぐった先の右側に,澳門博物館の入口がある。博物館自体もなかなか良い所らしいが,今回の目的地はモンテの砦。山頂に大砲が沢山おいてある丘だ。行き方は澳門博物館のエスカレータを上るだけ。とガイドブックには書いてあるのだが,実際には結構ややこしい。最初のエスカレータを上る→カフェやミュージアムショップのある中庭みたいな場所に出るので,ミュージアムショップ右奥の建物のエスカレータを上る→澳門博物館の館内入口があるので,それを無視して,館内入口左側の更に上がるエスカレータを上ると,モンテの砦に出られるようになっている。結構な高台だが,聖ポール天主堂からは階段も坂も登らずにエスカレータだけで来ることが出来る。(博物館の入場は不要なので,入場料も不要)


天主堂の階段を登った先の左側は澳門博物館


モンテの砦。澳門博物館のエスカレータで行ける。


リスボアを狙っている大砲


こんな大砲が沢山

モンテの砦を後にして,セナド広場に戻ると,集会をやっている人達がいた。詳細はよくわからんのだが,家族の居住権の要求らしい。マカオの中国返還前,中国国内の経済難民がよく密入国していたらしい。密入国者に対してマカオ政庁は時々特赦を出して居住権を与えていたそうだが,当時未成年だった子女は特赦の対象外。その子女のマカオ居住権取得を訴える集会。そういうのを世界遺産でやってしまう感覚もよくわからんが,でもまぁ,居住権をあげたらあげたで中国人のこと。親戚一同が連なって山のように申請に来るのは目に見えており,もともと経済難民では政府の収入より支出の方が上回るのも目に見えているので,政府が慎重になっているのも当然といえば当然。どうなることやら。


なにもこんな所でやらなくても

他にも回りたい場所はあるのだけれど,暑くて体力が削がれているのと,遅くなって日が陰ってきたのでまた今度。バスで外港客運碼頭まで戻り,香港行きのチケットを買ってイミグレを抜けて待合室で待っていると,やたらと手信と書いた袋をぶら下げている人がいる。そいや,バスからもよく手信店ってのを見た。手信って中国語がわからなかったのでiPhoneでググってみると,広東語で土産物のことらしい。台湾だと伴手禮。


帰りの舟

行きは南側の窓で他の船とすれ違っても反対側なのでわからなかったのだが,帰りも南側を指定されたので他の船をいろいろと撮影してみた。

 
左:長州行き普通渡輪  右:長州行き高速船

 
左:マカオ行きのコタイジェット  右:マカオ行きのターボジェット

  
左:ジェットフォイル。船体が空中に浮き上がっている。  右:坪洲行き港九小輪

上環に戻ってイミグレを抜け,ようやく香港に帰国(?)。マカオでは不要の出入国カードもここでは書かないとならない。 折角なので信德中心の中も散歩してみると,イギリスの高級スーパー MARKS&SPENCER FOODを発見。高級スーパーというより,デパ地下だけを分離した食品専門店って感じが近いか。そういえば,香港来訪は数あれど,信德中心にも来たことがなかったことを改めて認識する。


こんな所にくまモンが

日が暮れたのでトラムでホテルに戻り,荷物をおいて夕飯に。今日は海を散々見たので魚蛋が食いたくなり,いつもの德昌魚蛋粉へ。消化の良い米粉とミネラルたっぷりの魚蛋とあっさり目のスープは疲れた身体を癒してくれる。


德昌魚蛋粉


炸魚皮。ポテチのような食感。魚蛋粉のスープに浸すと味変できる。

つづく